俺と結婚しろよ!
「咲良……」
賢ちゃんは再びあたしを呼び……
ぎゅっと手を引く。
姿勢を崩したあたしは、賢ちゃんの腕の中に倒れこんで。
そして、賢ちゃんはあたしをぎゅっと抱きしめる。
賢ちゃんの身体は、筋肉質で温かくて、やっぱり石鹸の香りがした。
鼓動は速い。
まるで、ハイテンポのバスドラムのよう。
だけど、気分は落ち着いた。
伝えたいことは、まだまだたくさんある。
だけど、もういいんだ。
賢ちゃんに触れて、幸せを感じたから。
「咲良……マジで結婚しよ?」
賢ちゃんはあたしの耳元で囁く。
耳がジーンと痺れる。
賢ちゃん、ずるい。
いつもはあんなにお馬鹿なのに、こういう時だけあたしを狂わせる。
まるで、Fの曲のように。