正義の味方に愛された魔女2
4 目の保養くらいなら
その日、沙耶ちゃんは朝からなんだかイキイキしていた。
おとといは、事件の事で落ち込んでいたけれど、
気分転換が上手く出来た様子で、安心…。


「おととい、きっかりに上がらせてもらって時間たくさんあったので、
A市の駅前に新しく出来たショッピングモールに寄ったんです。

ひとまわりしたら、何店か気になるお店があって、
じっくり中を見てみたいと思ったので、
昨日のお休みも行ってきたんですよ!
連日「視察」してだいぶ把握しました。
素敵なファンシーショップがあって、気に入っちゃいました。
これから何度も通っちゃいそうです」


「そういえば、夢はショップオーナーだもんね。
お店を色々と見てまわって勉強してるんだぁ。熱心ねー」


「見てくださいコレ、かわいいでしょ?
こっちは百合さんに。
いつもお世話になってるお礼です!」


沙耶ちゃんが見せてくれたのは、ローズプリントの生地にレースが付いたポーチだった。


「わぁ……可愛い。お洒落だわぁ。
私にまで、ありがとう。開けていい?」


「どーぞどーぞっ!見てみて下さい。
もし趣味に合いそうならぜひ使って欲しいんですけど…」


「えー?素敵なキーケース!
使うよ使うよ!
大事にするね、ありがとう沙耶ちゃん」


これ、本革じゃないの?!
ワインレッドの三つ折りタイプのそれは、型押しの模様が上品。
高かったでしょうに…。
盗難のこと気にしてる…いいって言ったのに。若いのに律儀な子だねぇ。


「モールの中にあるカフェも、雰囲気良かったです。
近くでお仕事してるOLさんとか、パソコン広げてるスーツの人とかが居て、何だかカッコイイって思っちゃいました。

実は一人、本当にカッコイイ人居たんですよね…あぁいう人には綺麗な彼女がいますよね。あのマスターみたいに。
でもまた見かけて目の保養くらいしたいです」


「ふ~ん……目の保養ねぇ。声かけちゃえば良かったのに」


「何てこと言うんですか!そんな、逆ナンみたいなこと出来るわけないじゃないですか、恥ずかしい…。

あ、ダメですダメです!触らないでくださいね?
今、どんな人か視ようとしてたでしょ、その手には乗りませ~ん。
まだ内緒です」


ちぇっ……バレたか。
ま、いいよね、目の保養は大切だからね。

A市の駅前って、隼人の会社の近くだわ。
昨日、店に寄った時にくれたスイーツ、新しく出来たショッピングモールで買ってきたって言ってたよね。
そういうカフェにも入ったりするのかな?










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