正義の味方に愛された魔女2
待合室に戻った信也くんが、出ていった時より明るい表情なのを見て、
雅也も麗子さんも安心した顔で迎えていた。



私も龍二も今後、雅也に会う予定は特に無く、
龍二は話しかけずには居られなかったのだろう…。

「佐伯さん、休暇中だそうですが、その間に家族の会話の時間を設けてみてください。
親子で…家族でいるのに解らないことが多すぎる様ですね。

人に心を知られるのは……今でも苦手ですか?」


問い掛けられた雅也はしばらく龍二を、次に私を見て黙っていたけれど、


「相手を理解する為にも、自分を理解してもらう為にも、会話は大切ですよね。
なるべく話をしてみます。

昔、何も言わなくても理解してくれる事を都合よく思い、
知られたくない気持ちを知られる事を、煩わしく苦手に思っていた時期がありました。
全部、自分の都合でした。


荒川さんと仰いましたか?
貴方は……そうでは無いのですね。精神的に強い人のようにお見受けしました。

崩れかけた我が家を立て直す機会を与えてくださって、ありがとうございました。

内田さんも……今日は本当にお世話になりました。

次は信也が一人で出向くことになるかと思います。
担当の方にも、宜しくお伝えください」




……佐伯信也は後日一人で出頭したそうだ……。




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