正義の味方に愛された魔女2
「そう言えばね、龍二。隼人ったらおかしなこと言ってたよ。
『荒川さんの女版、居ないかな?』だって。
マッチョな正義の味方の女の子?」
「何だよそれ?」
「違うんだ荒川さん。母さんのボケ解釈、冗談だからね…。
母さんにとって荒川さんはさ、
力のことを知っていて、心を視られながら一緒にいても、
辛くなるどころか、全部さらけ出してくれる人でしょ?そんな人は他にいないよ。
それには相当な覚悟がいると思うんだ。
母さんのことを丸ごと理解して許容してくれるし。
なんだか羨ましくてさ、それで荒川さんの女版、居ないかな?って、そう思ったんだよ」
「覚悟なんて、そんな大層なもんじゃないんだけどな。
ただ俺は長いことずっと百合のことが好きだっただけだ。
ずっと一緒にいたいなら全部視て解ってもらいたい。
それなら俺も解ってあげたい、と。普通だな」
「『普通じゃない!!』」
「それでさ、母さん。謝罪の方は、さっきので勘弁してもらえるかな?」
「うん、そうだね……」
「で、お願いの方なんだけど……」
「いや、話は解ったけど。龍二がワケわからないから、説明して」
「………だよね。話すと長いよ?
彼女、菜摘って言うんだけどさ、会社の二年下の後輩の高校時代の友人で、頭数合わせで誘われた合コンで知り合ったんだ。半年前。
スイッチ切って付き合うならすごくいい子だよ?
そこそこ綺麗で、常識的で、人に気遣いも出来て…あまり外交的じゃないけど暗くは無いし。笑うと可愛いんだよ?
……心の中も全部、好きになれたら良かったんだけどな……。
毎日じゃないけど週二回は会ってたよ。アイツ不安で後輩を通じて俺の会社でのことを聞き出してた。
会ってる時は、そんな探りは入れてませんって顔してるんだけどね。
笑顔で嬉しそうに会ってくれるけど、いつも疑って不安なんだ。
それで俺いつも安心させて信じてもらう為の言葉ばっかりかけてた。
出張行ったんだ、三人で一泊。女子社員一人いたけたどみんな別室だった。
帰ってきてから会った日、さすがに腹が立ったさ。
後輩が、俺が女子社員と二人で出張だって、嘘ついて伝えていたのが視えたんだ。
別室だけど夜の予定までは知らないと。不安を煽るようなことをさ。
嫉妬と猜疑でいっぱいの心の中ってドロッドロで汚いんだよ。な?母さん。
でもなにも言われないし、当然なにも言わなかった。全部視られてるなんて思いもしないだろ?彼女は。
それで俺、その夜ドロドロな彼女を抱けなかったんだ。
それが、浮気だ二股だって騒ぐ切っ掛けになっちゃったんだよね。
釈明したり信用してもらうのにかなり時間かけたんだけど、
信じてもらえないんだ。
それから、電話で朝、昼、終業時、就寝時の4回電話連絡を義務づけられたのさ。
言い方はお願いだったけど、あのとき視えたのは束縛しておきたい俺への支配欲…それが言い過ぎなら管理欲だった。
仕事の出先で俺を見かけたら女と一緒だったとか……仕事で会ってるだけだよ仕事中なんだから。
C市に何をしに行ったんだとか……母さんの店行ったんだよ。
信じられなくて疑う気持ちが起きても、信じようと思ってくれればいいんだけど…そんな風に視えないし。
安心させるための時間を多くとりたいけど仕事終わるの遅くて。
俺の睡眠時間が減るわけさ。
この前さ、母さんに『解ってもらう為には力の事をうち明けなきゃ』って言われたんだけど、
そのとき言った通り『別れるために力のことを話す』ことにしたんだよ。
話して、もう続けられないって言ったんだ。もうダメだと思ったし。
それで、これだよ。
別れたいからそんな小説みたいなウソつくんでしょ?って。
他に好きな人出来たんでしょ?って。誰のことだよ、ね。
好きだから別れたくないと思ってくれるのは嬉しいんだ。
だけど菜摘が好きな俺ってさ、外見と仕事が大半なんだ。
そんなこと菜摘は言わないけどね。
優しくて思いやりがあるって、言うよそりゃぁ。こっちは、どうして欲しいか解って接してるんだからさ。
好きなら色々信じて欲しかったんだ。これ何回も言ったんだよ。
証明しろ、と言われたから…、
菜摘が何を考えているのか、リアルタイムでね、実況したんだ。
それが一番分かりやすいと思ったのに、
俺は心理学に長けていて、心を読む技術があるだけなんだとさ。
……で、マザコンじゃないつもりだったけど魔女様の召喚を……。
いや実はね、ゴタゴタになる少し前に、
『お母さんに紹介して』って言われてたんだよね。
母さんに力があるのも、当然言ってなかったよ?
母さんの存在を出すのは、自信を持ちたいからと、周りへの虚栄心だよ。
『親にも会わせてもらった彼女です』って。
居るはずの無い浮気相手に対抗したいの。
それに、結婚願望……。
俺は結婚どころか菜摘を本気で愛してない。うん、わかってるよ最低なの。
最近の菜摘の色ってグレーっぽいんだ。
母さんこの色って問題アリだよね?
荒川さん、長々聞いてくれてありがとう。
俺、ここで彼女フッたらひどい男だろうか……」
『荒川さんの女版、居ないかな?』だって。
マッチョな正義の味方の女の子?」
「何だよそれ?」
「違うんだ荒川さん。母さんのボケ解釈、冗談だからね…。
母さんにとって荒川さんはさ、
力のことを知っていて、心を視られながら一緒にいても、
辛くなるどころか、全部さらけ出してくれる人でしょ?そんな人は他にいないよ。
それには相当な覚悟がいると思うんだ。
母さんのことを丸ごと理解して許容してくれるし。
なんだか羨ましくてさ、それで荒川さんの女版、居ないかな?って、そう思ったんだよ」
「覚悟なんて、そんな大層なもんじゃないんだけどな。
ただ俺は長いことずっと百合のことが好きだっただけだ。
ずっと一緒にいたいなら全部視て解ってもらいたい。
それなら俺も解ってあげたい、と。普通だな」
「『普通じゃない!!』」
「それでさ、母さん。謝罪の方は、さっきので勘弁してもらえるかな?」
「うん、そうだね……」
「で、お願いの方なんだけど……」
「いや、話は解ったけど。龍二がワケわからないから、説明して」
「………だよね。話すと長いよ?
彼女、菜摘って言うんだけどさ、会社の二年下の後輩の高校時代の友人で、頭数合わせで誘われた合コンで知り合ったんだ。半年前。
スイッチ切って付き合うならすごくいい子だよ?
そこそこ綺麗で、常識的で、人に気遣いも出来て…あまり外交的じゃないけど暗くは無いし。笑うと可愛いんだよ?
……心の中も全部、好きになれたら良かったんだけどな……。
毎日じゃないけど週二回は会ってたよ。アイツ不安で後輩を通じて俺の会社でのことを聞き出してた。
会ってる時は、そんな探りは入れてませんって顔してるんだけどね。
笑顔で嬉しそうに会ってくれるけど、いつも疑って不安なんだ。
それで俺いつも安心させて信じてもらう為の言葉ばっかりかけてた。
出張行ったんだ、三人で一泊。女子社員一人いたけたどみんな別室だった。
帰ってきてから会った日、さすがに腹が立ったさ。
後輩が、俺が女子社員と二人で出張だって、嘘ついて伝えていたのが視えたんだ。
別室だけど夜の予定までは知らないと。不安を煽るようなことをさ。
嫉妬と猜疑でいっぱいの心の中ってドロッドロで汚いんだよ。な?母さん。
でもなにも言われないし、当然なにも言わなかった。全部視られてるなんて思いもしないだろ?彼女は。
それで俺、その夜ドロドロな彼女を抱けなかったんだ。
それが、浮気だ二股だって騒ぐ切っ掛けになっちゃったんだよね。
釈明したり信用してもらうのにかなり時間かけたんだけど、
信じてもらえないんだ。
それから、電話で朝、昼、終業時、就寝時の4回電話連絡を義務づけられたのさ。
言い方はお願いだったけど、あのとき視えたのは束縛しておきたい俺への支配欲…それが言い過ぎなら管理欲だった。
仕事の出先で俺を見かけたら女と一緒だったとか……仕事で会ってるだけだよ仕事中なんだから。
C市に何をしに行ったんだとか……母さんの店行ったんだよ。
信じられなくて疑う気持ちが起きても、信じようと思ってくれればいいんだけど…そんな風に視えないし。
安心させるための時間を多くとりたいけど仕事終わるの遅くて。
俺の睡眠時間が減るわけさ。
この前さ、母さんに『解ってもらう為には力の事をうち明けなきゃ』って言われたんだけど、
そのとき言った通り『別れるために力のことを話す』ことにしたんだよ。
話して、もう続けられないって言ったんだ。もうダメだと思ったし。
それで、これだよ。
別れたいからそんな小説みたいなウソつくんでしょ?って。
他に好きな人出来たんでしょ?って。誰のことだよ、ね。
好きだから別れたくないと思ってくれるのは嬉しいんだ。
だけど菜摘が好きな俺ってさ、外見と仕事が大半なんだ。
そんなこと菜摘は言わないけどね。
優しくて思いやりがあるって、言うよそりゃぁ。こっちは、どうして欲しいか解って接してるんだからさ。
好きなら色々信じて欲しかったんだ。これ何回も言ったんだよ。
証明しろ、と言われたから…、
菜摘が何を考えているのか、リアルタイムでね、実況したんだ。
それが一番分かりやすいと思ったのに、
俺は心理学に長けていて、心を読む技術があるだけなんだとさ。
……で、マザコンじゃないつもりだったけど魔女様の召喚を……。
いや実はね、ゴタゴタになる少し前に、
『お母さんに紹介して』って言われてたんだよね。
母さんに力があるのも、当然言ってなかったよ?
母さんの存在を出すのは、自信を持ちたいからと、周りへの虚栄心だよ。
『親にも会わせてもらった彼女です』って。
居るはずの無い浮気相手に対抗したいの。
それに、結婚願望……。
俺は結婚どころか菜摘を本気で愛してない。うん、わかってるよ最低なの。
最近の菜摘の色ってグレーっぽいんだ。
母さんこの色って問題アリだよね?
荒川さん、長々聞いてくれてありがとう。
俺、ここで彼女フッたらひどい男だろうか……」