甘いささやきは社長室で



「シャワー浴びる?せっかくだし、僕が洗ってあげようか」



からかうように言われ、私はすぐ横にあった枕をその顔に押し付けると彼からは「ぶっ」と苦しそうな声がした。



「バカなこと言ってないでください、変態」

「……はーい」



冷たく返す私に、桐生社長は苦笑いで顔を離すと「部屋で支度してくるね」とその場を後にした。



「……ったく、もう」



バタン、と閉じられたドアに、呆れたようや声をもらしながら、再度ベッドに寝転がる。

ごろんと体の向きを左に変えれば、かすかに香る、自分のものともホテルのものとも違う匂いに、彼が一晩中ここにいたのだと感じる。



「……残り香、」



その香りを「くん」と小さく嗅いで、……これじゃあどっちが変態だかわからないな、なんて。心の中でつぶやいてシーツに顔をうずめた。




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