甘いささやきは社長室で
「寝不足ですか?」
「うん、昨日の夜はずっとマユちゃんの寝顔見てたから」
「え!?」
ね、寝顔を!?
まさか見られているとは思わず、ボッと顔を赤くして桐生社長を見る私に、事実なのか冗談なのか、彼はクスクスと笑った。
「ちょっと口あいてて、かわいかったよ」
「なっ……!」
口あいてたとか、かわいいとか……!
その言葉に頬はいっそう、かああと赤くなる。そんな私に、彼は寄りかかるように肩に頭を乗せた。
「ひと眠りしたいから、肩貸して」
耳のそばで響く低い声。それからほどなくして、「すー」と小さな寝息が聞こえてきた。
……全然、仕事にならないんですけど。
肩にずしりと感じる重みにばかり気持ちがいってしまって、集中できない。
昨夜のキス
抱きしめる腕
よりかかる頭
残る、彼の香り
全てに嬉しさを感じて、ときめいている。
この気持ちはきっと、信頼とか慕うとか、そういったもの以上の気持ち。
愛しいと、強く感じている。