甘いささやきは社長室で



「あの、なにか?」

「あっ、いえ……その、祐輔さんがおっしゃっていた通り、綺麗な方だなと思いまして。つい見とれてしまいました」



……って、そんなかわいい顔でなにを言うの!?素?嫌味?……いや、嫌味を言う人には見えない。

中身もいい子なんだなぁ……非の打ち所がないって、こういう人のことを言うのだろうか。

ていうか、桐生社長はこんなにかわいい人になんの話をしてるんだか……!



「……き、桐生社長は女性相手なら皆に綺麗とおっしゃいますから」

「ふふ、確かに。口が上手い方ですものね」



猫をかぶっていても、桐生社長のあの調子の良さを知っているのだろう。花音さんはカップを手にくすくすと笑う。



「でも人を傷つけることや悪口を言わないところが、私はとっても好きなんです」



『好き』、頬をそめて言った、たったひと言にその心の中が見えた気がした。




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