甘いささやきは社長室で
「くだらないこと言ってないで仕事してください」
そしてトレーを手に、スタスタと部屋を出て行ってしまった。
いつも以上にそっけないその言い方は、呆れているのか、面倒だと感じているのか。どちらにせよ、穏やかではない感情を含んでいることは明らかだ。
……意地悪しすぎたかも。
でもさ、やっぱり僕からすると元カレが社長として登場とか、彼女と仲よさげだとか、いい気はしないわけで。
ついつい意地悪なことを言って、彼女の愛情を計ろうとしてしまう。
そこでマユちゃんが、『そんなことない、私にはあなただけ!』なんて言うタイプじゃないって言うのはわかってるんだけどさ……。
いい歳して、まだまだ子供な自分が憎い。
ひとり残された社長室で、僕は先ほど受け取った招待状を改めて見る。
日付は一週間後……ふたりで、か。
気は進まないけど、マユちゃんのドレス姿だけは楽しみだなぁ、なんて。頭の中をまた彼女でいっぱいにした。