甘いささやきは社長室で



そして迎えた、一週間後。

今日1日の仕事を終えた夜、僕と彼女の姿は六本木にある大きな通り沿いを歩いていた。



ストライプ柄のスーツを着た僕の隣には、黒いタイトなワンピースを着たマユちゃんの姿。

デコルテを覆う黒いレースがいやらしすぎないセクシー感をただよわせ、アップにしている髪型がめずらしい。



その顔は、不満そうだけれど。



「マユさーん?怒ってる?」

「……えぇ、怒ってます」

「なにをそんなに怒ってるのさ。よく似合ってるよ?そのワンピース」



ムスッとしたままのその顔に首をかしげると、マユちゃんは不機嫌な目つきで僕をにらむ。



「だからって、こんな何万円もするものをポンと人に買い与える人がいますか!もっとお金の使い方を考えてください!」



そう、その不機嫌の理由というのも、僕がそのワンピースを買ったから。



< 195 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop