甘いささやきは社長室で



聞けば彼女は今日、いつものスーツ姿でパーティーに参加しようと思っていたそうで……。



『ダメなんですか?』

『ダメっていうか……もうちょっと着飾るべきだと思う!ちょっと来て!』



仕事終わりに彼女を連れて、向かったのは道中にあるアパレルショップ。パーティー用のドレスやスーツを扱う、行きつけの店だ。

そこで彼女に似合うものを見繕い、金額だって高すぎるというわけではなかったから即決で購入しそのままやってきたわけだけど……。

彼女からすると、それが不服だったらしい。



「だってそれがマユちゃんに一番似合ってたし。恋人にプレゼントをあげたいと思うのは普通のことじゃない?」

「だからって……もう!」



金額なんて関係ない、と思う僕に対し、関係あると思うらしい彼女。

うまく噛み合わないお互いに、マユちゃんは言いたいことが伝わらない、とでもいうかのように、じれったそうに歩き出してしまう。

追いかけるように早足でとなりを歩くけれど、その顔は背けられたままだ。




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