甘いささやきは社長室で



『いいの?うれしい〜!』と喜ぶわけじゃないところもまた、マユちゃんらしいというかなんというか……。

そこもまたかわいいところだけど、こうも怒られると複雑だ。



そんな気持ちになりながらもやってきたのは、六本木の大きな通りの端。

ビルとビルの間にある地下へと続く階段をくだると、そこにレストランはあった。



『ビストロ・エメ』とプレートにかかれたそこは、シルバーと黒を基調とした、高級感あふれるレストランバー。

高すぎず安すぎず、ちょうどいい価格帯のビストロ料理に種類豊富なアルコールを取り揃え、食べる人はもちろん飲む人も満足させることで今人気が急上昇している店だ。



……そのメニューの改変なども息子である椎葉さんに代わってから行われたことだそうで、彼が立て直したも同然らしい。



「いらっしゃいませ、こちらで受付をどうぞ」



すでにパーティーが始まっている店の入り口でそう出迎えたウェイターに、僕がなにかを指図するより先にマユちゃんは受付を行う。

こうしてパーティーにくるのは初めてだそうだけれど、秘書としても、やはり優秀な人だ。



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