甘いささやきは社長室で
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今日の午後、いつも通り仕事をしていた私は、桐生社長を社長室に残し秘書課のオフィスで仕事をしていた。
「真弓くん、キミ社長秘書になってから随分綺麗になったなぁ」
するとそう突然言ったのは、たまたま秘書課のオフィスに来た、総務部全体を見る総務部長である中年男性。
「そうですか?変わらないと思いますが」
「いや~違うよ。前まではただの真面目って印象だったけど、今はなんだか色気がある」
『そんなことないですよ〜』とはしゃいだ反応ひとつ見せない私にも、部長は頭のてっぺんからつま先までをまじまじと見て、うんうんと頷く。
「あ、さてはあの社長に女にさせられたな~?さすがチャラ男社長、真面目な秘書まで変えちゃったか!」
部長は笑いながら言うと、肘でツンツンと私をつつく。それに対し、私は一切の動揺も見せることなく冷静に答えた。
「……そういうのじゃありません。彼氏もいませんし桐生社長はただの仕事相手でしかありません」
「えぇー?怪しいな~」
つまらなそうに言いながら、まだあれこれと聞きたそうな部長に、自然な動きでかわすようにオフィスを出た。