甘いささやきは社長室で
確かに。スイーツだって、レストランだって、流行りを作り追いかけるのは女性が圧倒的だ。
母という立場になれば、今度はおいしいものを、安全なものを、と気にかけるだろう。
そんな女性たちのことを知ることができるのは、同じ女性たち。だからこそ、桐生社長は女性社員のことも大切にしてくれている。
『やることひとつひとつにもちゃんと意味があるんですよ』
先ほどの三木さんの言葉を思い出し、納得するように頷いた。
「そういうこと、もっと周りに公言すればいいのに」
「自分もそう言ったんですけどね。頑張りを知られるのが恥ずかしいそうで」
せっかくの真面目さをを隠してしまうのは、彼の照れ?
そんなところもまた意外で、こうしてまたひとつ彼の顔を知る。
「……意外と照れ屋なんですね」
ついおかしくて笑ってしまう私に、三木さんも「意外ですよねぇ」と笑ってみせた。
「なーにふたりで仲良くしてるのかな」
その時、突然聞こえたのは聞きなれた低い声。
そのひと言に三木さんとふたり顔を上げると、そこには社長室にいるはずの桐生社長が笑顔を浮かべ立っていた。
「社長!いつの間に!?」
「会社のすぐ隣だもん、社長が現れてもおかしくないでしょ。ていうか三木、セクハラ。マユちゃんにくっつきすぎ」
その手は思い切り三木さんの顔を押しのけるように引き離す。