無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
「あ、気にしてないよ! 大丈夫大丈夫」

「そっか、ならいいけど
 せっけく美人なのに、恋人もいないまま残り少ない二十代のバレンタインを過ごすなんて寂しいよ」

「何言ってんの
 陽菜乃だって同じじゃん」

「私は恋より仕事!」

 クスクス

「アハハ 仲間がいることに感謝ー」


 歩き疲れて入ったカフェ。
 チリンチリンと、カフェの入り口で鳴るベルに気を取られて振り返ると、入って来たのは一人の男性と二人の女性だ。


――あ

 男性は大石だった。


 慌てて顔を逸らそうとしたがその前にしっかり目があってしまった。

 大石はユキを見つけた途端、ニッコリと微笑む。


 冬の青空のように抜けるような爽やかな笑みを浮かべられては、もはや知らぬ顔はできない。



「こんにちは」
「こんにちは」

 連れの女性たちを先に席につくように促してユキの席まで来た大石と、挨拶程度の簡単な会話を交わした。

「仕事で、時間調整に寄りました
 ユキさんは今日はお休みですか?」

「ええ」
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