無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
感じたままに写真を撮り、セピア色に加工してブログにアップした後、
写真に何か一言添えようとして散々首を捻ってみたがうまい言葉が見つからない。
結局写真だけになったその記事に、宙がコメントを書いた。
『自分のためじゃなく誰かのためなら、生きてもいいかと思う』
おそらくは愛する女性のために彼女が愛する男の身代わりになって死んだ男、カートンのことを言っているのだろう。
それはわかったが彼は死んだのだ。
なのにどうして宙は『生きてもいいかと思う』と、逆のことを言うのだろう?
そんなことを思ってユキは首を傾げた。
それもでその言葉はユキの胸に響き、
――そうかもしれない
人は誰かのために生きようと思った時こそ、強く生きることができるのかもしれない。
……私のように。そう思った。
それが宙がユキにとって特別な理由だ。
宙は、そんな風にしてユキの心に記憶を残していった。