瑠璃色の姫君
ジルに偉そうに言っていた傍、自分がそれが出来ていないようじゃ本当にだらしないと思うけれど。
脳内のレティシアと、目の前のフリュイ。
始めでこそレティシアのことしか頭になかった僕だけど、旅をするにつれてフリュイに沢山助けられて、その笑顔に和ませてもらって。
いつの間にかフリュイもまた、レティシアと同じくらいに僕にとってはかけがえのない人になっていたのだ。
早くレティシアに会いたい。
あの瑠璃色の髪に、あの鈴のような声に、あの大好きな笑顔に。
そう考えては、目の前のフリュイの笑い声が頭に響く。
花冠を抑えてはしゃぐ大好きな相棒の姿に頬が緩まる。
どちらかなんてとても選べなくて、僕はゆっくりと視線を落とした。
「ねえねえ、バベル!」
「うん?」
呼びかけられて僕はゆるゆると視線を上げた。
「バベルの話をロゼアとしていたら、そこで会って話しかけてくれたの!」
そこにいたのは、ダンディにヒゲを生やした男の人。
「オー、ナー?」
「相変わらずのイケメンだな、バベル!」
それは、僕より長くこの世界に居座っている、カフェ・レヴのオーナーだった。