チェロ弾きの上司。
しばしお互い無言で食べ進めていると、真木さんが言った。

「いいこと教えてやろうか」

「はい?」

「これ、三神に教わった」

……あらまあ。

「オレが学生の頃、風邪ひくと、よく三神が作ってくれた」

うふふ、おかあさんと子どもみたい。

「仲良しさんなんですね、その頃から」

「ただの腐れ縁だ」

それから、真木さんは三神さんとの話をしてくれた。

小学生の頃、音楽コンクールで出会ったこと。
中学生の頃は、コンクールで三神さんに会えるのが楽しみで、練習を頑張ったこと。
高校生の頃には、音楽の道ではなくIT関係の道に進みたかったから、コンクールには出なくて、三神さんとは会っていなかったこと。
大学の入学式で再会したこと。
大学オケに入ってすぐの定期演奏会に三神さんと乗ることになって、最初の合奏で指揮者に弦セクションがいきなり上手くなってると驚かれたこと。
大学卒業後はたまに連絡をとる程度だったけど、今の会社に移ると決めた理由のひとつが、三神さんとまた音楽をやりたかったからだということ。

……友情というか、もはや、愛を感じるお話だった。

「素敵なお話をありがとうございました。ごちそうさまでした」

「どういたしまして」
< 122 / 230 >

この作品をシェア

pagetop