チェロ弾きの上司。
「今日は、いろんな奴が、お前がいかに貴重な人材かを訴えに来た」

え?

「佐倉は、お前が来てからオフィスがきれいになったし、書類も整理整頓されたって褒めてた。それから、毎日冷凍食品なしで弁当作ってるのも偉いってさ」

はぁ。
まあ、ここだけの話、佐倉さんは整理整頓と料理が得意ではないみたい。

「野原は、クライアントからよくお前の電話対応を褒められるって。契約書や請求書もきっちりしてるし」

それは仕事として当たり前のことしてるだけですが……。

「要はオレに、お前が辞めないようにもっと優しくしろってさ」

そんなわけ……。

でも、うれしい。

「ついでに、三神にも怒られた。部下の残業把握してない上司なんてありえないとか、……散々」

かなりの仏頂面……。
真木さんを怒れる三神さんって、ほんとすごい。

「明日の金曜日も休んでいい。土日も休んで、月曜日から来い。しばらく無理させてたからな。楽器も弾けないくらいに」

「……そういうお気遣い、ありがたいんですが、身体のことで、あまり特別扱いしないでください。体調管理も仕事のうちですから……」

だから、身体のことは言いたくなかったんだ。
毎月気を遣わせるのは、申し訳ない。
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