チェロ弾きの上司。
「……ただのチェロ弾きとヴァイオリン弾きだ」
あんまり優しい声だったから、
涙腺のダムが破壊されちゃった。
この間から、何なのこれ。
なんで真木さんに優しくされると、泣きたくなるんだろう。
たまらず、手の平で顔を覆う。
だから、気づかなかった。
真木さんの香りがして、暖かいもので身体が包まれるまで。
「……っ⁉︎」
慌てて顔を上げると、
だ、抱きしめられて、いる……⁉︎
「ま、真木さん……」
「いいからおとなしく泣いておけよ」
そう言われても、付き合ってもいない男女がこういうことするのは道義上いかがなものなの⁉︎
一方、身体は既に、会社で倒れた時に、こうして抱き締められるのは気持ちいいって知ってしまっていたので、
気持ちいいよー
このまま動きたくないよー
って言っていて。
頭と身体がケンカしてる。