チェロ弾きの上司。
◇
「望月、今日空けられる時間は」
翌日朝礼後、真木さんがきいてきた。
ふと考える。
昨日30分と言ってしまったから、時間内に終わらせようとあんなスピードで説明してくれたのかな、って。
「午後の1時間でしたら……」
時間に余裕があれば、もう少しゆっくりのテンポになるんじゃないかな。
と思ったあたしは甘かった。
「ここからここまでセルを選択。ここに貼り付け。するとこっちのシートにリンクかけてるから計算結果が自動で入るようになってる」
ただいま、真木さんのデスクにて、仕事教わり中。
真木さんがパソコンを操りながら説明してくれているんだけど……。
は、速い。
真木さんはショートカットキーを駆使し、右手と左手が両方動く。
やはりアレグロのままで、アレグレット(やや快速)にはならないのでした……。
長くてキレイな指だなぁ、ショートカットキー使えるとかっこいいよね、なんて思ったのは最初の一瞬で、その後はついていくのに精一杯。
必死でメモを取るけど追いつかない。
「ハードコピーかけてやるから、今は流れを覚えろ」
そう言いながら、真木さんは説明を続ける。
あたしは要点だけ書き留めることにした。
「……以上。やってみて分からなかったら質問に来い」
す、スパルタ……。
「はい……」
げっそりしながらお辞儀をして、ハードコピーされた紙を取るためプリンタに向かった。
結局、説明15分、実践40分という結果となりました……。