チェロ弾きの上司。
◇
水曜日。午後6時50分。
地域の公民館の一室。
暗い部屋に電気をつけると、だだっ広い空間。
「おはようございま〜す」
一応、挨拶してみる。当然返事はない。
よし、今日も一番乗り。
楽器と荷物を置き、倉庫からパイプ椅子を出す。
「を、モッチー今日も早いね」
「おはようございます!」
あたしの苗字が望月なので、オケのみんなからはモッチーと呼ばれてる。
「うぃーっす」
「おはようございます!」
後からやって来た数人と椅子を並べること約80人分。
オーケストラの練習場の出来上がり。
それぞれ、音出しを始める。
練習開始は午後7時半。
だんだん人数が増えてくる。
そんなとき、ニュースがもたらされた。
「チェロに新しい人が来て、別室でオーディションするって!」
「をを〜。聴きに行こうよ!」
アマチュアオーケストラは、たいていどこでも弦楽器が人員不足。
我がオケも例外じゃない。
経験者は大歓迎!
だからオーディションといっても、どれくらい弾けるのかを確認するくらい。