不器用ハートにドクターのメス

とてとてっと、まるで親について歩くひな鳥のように、真由美は小股で足を出し、前を行く大きな背中を追いかける。

どうしたい?や、どこに行きたい?

そういう風に自分の意思を尋ねられることが苦手な真由美にとっては、相手がプランを定めてくれるというのは、とてもありがいことだった。

そもそも真由美は、誰かと一緒に行けるような店や場所のストックが乏しいのだ。20代前半の女であるにも関わらず、ランチなどにはほぼ出かけたことがない。

前後歩きという、デートらしからぬ歩行形態で歩くこと、五分少々。

神崎が歩行スピードをゆるめ、その足が止まったので、真由美もぴたりと、両足を揃えてストップした。

半ば反り返った気をつけをしている真由美を軽く振り返って、神崎が言う。


「ここだ」


とある店を指し示されて、真由美は思わず、「えっ」と短い声を上げてしまった。

なぜならその店は、これまたずいぶんとラブリーな、雑貨店だったからだ。

どうして先生が、こんな店に。真由美の脳内で、疑問が大きく膨れ上がる。

カントリー風で、明らかに女性しか入らないだろうという店。

レースカーテンがあしらわれた窓際には、みっちりテディベアが並んでいて、ここにもクマがいる、と真由美は目をしばたかせる。


「福原、入るぞ」

「は、はいっ!」


驚きが抜けないまま、神崎に促され、真由美は店内へと踏み入る。

香でも焚いているのか、店の中は、むせかえるような花の匂いに包まれていた。

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