不器用ハートにドクターのメス

その強い香りで胸をいっぱいにしながら、真由美はそろりと、先に入った神崎を見上げる。

どこからどう見ても、店の雰囲気と神崎の風貌は調和しておらず、ちぐはぐだった。

先ほどログハウス風の店でテーブルとイスを小さく感じたように、神崎がいるだけで、今度は雑貨店自体が、せまい場所であるかのように映る。


「ふーん……いろんなもん置いてあるんだな」


こういう場所には初めて来たのか、神崎はぐるりと、物珍しそうに店内を観察し始めた。

視線が自分に向けられないことに少しホッとしつつ、かつ、なぜ先生がこんな店を知っているのかという疑問を拭い去ることはできないまま、真由美も、置かれている品物に目をやっていく。

見渡す限り、真由美のストライクど真ん中の少女趣味な品ばかりが並んでいた。

真由美は瞳を大きくしては、商品たちのまばゆさに、まばたきを繰り返す。

数歩歩いたところで、大好きなキャラクター、クマーヌに似ているピンク色のクマのストラップを発見し、真由美は思わず、顔をほころばせかけた。

けれどすぐに、グッとくちびるを噛みしめ、今日はダメだダメだ、と自分に言い聞かせた。

いつもなら、このような可愛い雑貨屋を訪れた時には、真由美はついつい財布の紐をゆるめて、いくつかの戦利品を家に持ち帰っている。

もしここに一人で来ていたなら、きっとすぐに、品物を手に取っていたことだろう。

けれど今は神崎と一緒にいるため、真由美は自身の中で湧き上がる購買欲を、必死に鎮めていた。

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