不器用ハートにドクターのメス
口頭ではっきり明示されると、いくら鈍感な真由美でも、理解できた。
先生は今日、ずっと、自分に合わせてくれていたのだ……と。
とことんクマ尽くしのデートコース。
それがまさか、自分のために調べられ、用意されたルートだったとは、今の今まで、微塵も気づけていなかった。
真由美の脳内が驚き一色に染まっているうちに、神崎はいつの間にか、チケットの購入を済ませていた。
「行くぞ」と促され、真由美はお礼も言わせてもらえないまま、神崎とともに、展示会場へ入場する。
会場内は、華やかな熱気に包まれていた。
珍しい催しだからか、それとも実は隠れファンが多かったのか、客入りはわりと良好なようだ。
「あ、あの……っ、」
「撮りたいやつがあったら、言えよ」
一体目の展示前に来たとき、神崎が目を合わせないまま、そう言った。
「えっ」
「写真。さっき、メシんときもほんとは、撮りたかったんだろ」
言い当てられて、真由美はひどく驚いた。
パンケーキの店では、たしかに写真におさめたいと思った箇所が、たくさんあった。
けれど神崎を前にしていたため、遠慮して、携帯を取り出すことができなかったのだ。
「どうして……」
「……なんとなくだよ。そんな顔、してたから」
その回答に、真由美はさらに驚かされる。
不愛想で無表情。顔に感情が現れにくい真由美は、いつだって、他人には理解されずに苦労してきた。
怒っていないのに怒っていると思われ、その都度悲しい思いばかりしてきた。