不器用ハートにドクターのメス

なのにどうして、と、真由美は心を震わせる。

……どうして、先生には、わかるんだろう。

先生は、わかってくれるんだろう。


「……撮らねーの」

「あっ、撮る!撮ります……っ!」


神崎の言葉に、真由美はいそいそと、カバンから携帯を取り出す。

カメラを立ち上げ、まず最初におさめたのは、メルヘンチックな馬車に乗っているクマーヌの人形だ。

プリンセススタイルなのか、頭には王冠が添えられており、体はドレスに包まれている。

イチゴを食べているクマーヌ。腹筋をしているクマーヌ。大の字で寝ているクマーヌ。

その後も真由美は、着々と、たくさんのクマーヌ人形を写真の中におさめていった。

自分が家に持っていない衣装を着ているものや、面白い体勢をとっているクマーヌばかりで、表情には表れないものの、真由美は内心、かなり興奮していた。

可愛い画像が、フォルダにどんどん増えていくことが嬉しい。

どれを待ち受けにするか、そんな幸せな悩みで一晩を過ごせそうだ。

そして同時に、写真に関するものとは別の嬉しさも、真由美の中に芽生えていた。


「すげー体勢で寝てんな」

「ふふ……はい」


神崎と一緒に見て回って、ぽつりぽつりと、感想を言い合えること。

それが、真由美にはとても、嬉しかったのだ。

友達ってすごいものだなぁ……と、真由美は改めて、そんなことを思う。

一緒にご飯を食べて、ドライブをして。

雑貨屋さんに入って、展示会に来て。

半日くらいを、一緒に過ごして。

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