不器用ハートにドクターのメス
その言葉を、聞いた瞬間。
「……っ、」
真由美の目からは、ぼろっと、大粒の涙がこぼれていた。
この間、病院から車で送ってもらったときには我慢できたのに、今回はだめだった。我慢できなかった。
誰かに褒められた時、真由美はいつもなら、その言葉を素直に受け止めることができない。
自信の無さから、すぐにマイナス思考に走り、そんなことないと否定して、褒められた事実をなかったことにしてしまう。
けれど、今の神崎の言葉は、心のひだに深く染み入るようで、真由美は素直に受け止め、聞き入れることができていた。
お前は大丈夫だ。
そう認めてもらえたことで、あやふやだった足場が、少しながらその輪郭を現していくような気がした。
「ひ……っ、く……っ」
喉が鳴る。次々と喉元に熱いものが込み上げ、その熱は涙となって、目からこぼれ落ちていく。
他のお客さんもいる展示会で、しかも出口付近で泣くなんて、注目を浴びてしまう。
先生が悪い男みたいに思われてしまう。泣き止まないと、としゃくりあげながら、真由美は思う。
泣きやめ、泣きやめわたし。そう、言い聞かせるのに。
「……泣くな」
頭に降ってきた、大きな手のひら。
その手と声がとても優しくて、真由美はよけいに、涙を止めることができなかった。