不器用ハートにドクターのメス
モアタウン近くの指定された店は、すぐに見つかった。
そして店の前には、すでに堂本の姿があった。
ところが堂本は一人ではなく、二人の派手な女に囲まれており、何やら楽しそうに談笑していた。
その様子に、神崎は思わず眉根を寄せる。
「お、神崎」
ちょうど眉間にくっきりとシワが刻まれたとき、堂本が神崎の存在に気づいたらしく、こちらに向かって軽く手を挙げてみせた。
「じゃあ、ツレが来たから」
そう言って、ナチュラルな笑みで女たちから距離を取る。
女たちは残念そうな顔をし、神崎にも品定めかつ好意を含んだ視線を投げかけながら、渋々と去って行った。
「……なに女口説いてんだよ」
「違うって。向こうから寄ってきたんだ」
女性を邪険にするわけにはいかないだろ?と、堂本は綺麗に笑ってみせる。
その女たらしっぷりに、やっぱり結婚しても根本的なところは変わってないなと、神崎は薄い笑みを漏らした。
堂本はフェミニストをうたってはいるが、博愛主義者でもある男だ。もう少し若き頃は、平気で股をかけるようなこともしていた。
自分だってほめられたものではないけれど、女を巧みに騙すこいつよりはまだマシだろうと、神崎は大学時代から思っていたのだ。
まあ、結婚して子供ができてからは、その悪癖も治まっているようだし、個人の色恋事情にいちいち難癖つけるような趣味は、神崎にはないのだが。