不器用ハートにドクターのメス
けれどそこで、自分が諦めなかったからこそこぎ着けたゴールインなのだ。
「兄ちゃんはなーー」
真由美に少しでも自信をつけさせるために、そんな自分の話を、廉次はかいつまんで行った。
真由美はそれを、とても熱心に聞いていた。
元々大きな目を開き、何度も何度も、頷きながら。
「人を好きになるって、そうそう起こることじゃないよ。それこそ奇跡みたいなもんだ」
自分のことを話し終え、一息ついてから、廉次は言った。
「奇跡……」
「うん。だから俺は、簡単に諦めちゃもったいないって、思うんだよな。それに」
穏やかな、真由美が受け取りやすいであろうペースで、廉次は優しい声を紡いでいく。
「好きでいるのは、自由なんだよ。俺みたいに、無理に告白しろとは言わない。でも、好きでいるのは真由美の自由だ」
好きでいていいんだよ、と重ねて言うと、真由美の瞳がゆらりと動いた。
「気持ちを消さないまま、普通に話せるように頑張ればいい。そりゃ、好きな人相手だと緊張するけどさ。避けてしまいそうになるんだったら、好きな人と関われるせっかくのチャンスなのにもったいないって、勇気出せって、自分を励ましてやればいい」
真由美のペースでいいからさ、と、廉次は続ける。
「普通に話せると、いいな」
廉次がそう締めくくると、真由美はしばらく固まって考えたあと、顔を真っ赤にしたまま、こくん、とうなずいたのだった。