不器用ハートにドクターのメス
「あの……っ!わ、わたしが!わたしが、更衣室に行きます……!!」
「……え?」
「山下さんは、ここで休んでいてくださいっ!!」
真由美が自分から声をかけてきたことに驚いたのだろう。山下の目のサイズは、大きいままだ。
肩の位置をぎゅっと上げて、まばたきを多くしながら、真由美は続ける。
「き……気まずい思いをさせてしまって、すみません。わたし、その、本当は……本当は山下さんといろいろお話、したいんです……!けど……き、緊張して、どんな話題を振っていいかわからなくて、あの……」
もごもごと発される真由美の言葉に、山下は目だけでなく、口もあんぐりと開けて固まっているん。
「さ、さっき!!やっぱり山下さんはすごいなぁって、思いました!!」
慣れないことをしているせいで、真由美の声は震えていた。
ぶるぶると声を震わせたまま、真由美は言葉をついだ。
「物品庫で選び取るとき、本当に速くって……わたしもそんな風に、なりたいなって。や、山下さんに……その、もっと聞きたいこともあって、だから、よかったら、更衣室に行かずに、待機室にーー」
頭に浮かんだことを必死で絞り出していたら、いつの間にか、その発言は矛盾してきてしまっていた。
さっき自分が更衣室に行くと言ったのに、今では、一緒に待機室にいようというお誘いのようになっている。
はっとそれに気づいた真由美は、半泣きになりながら、頭を下げた。
「〜す、すみません……っ、まとまりがなくてわたし……話すのがすごく下手で、あの……」