不器用ハートにドクターのメス
頭で、脳みそがオーバーヒートしてしまう音がする。
そんな、壊れた機械のようになっている真由美を、山下は目も口も丸く開けて、じっと見ていた。
その目元をふっとゆるめ、山下は待機室を指差すと、落ち着いた声で言った。
「……とりあえず、戻る?」
山下の問いかけに、真由美は顔を上げる。
戸惑いながらも、こくんとうなずく。
二人して、気まずいながら待機室に戻り、置かれているソファに、並んで座る。
膝の上に握り拳を置いた真由美は、そわそわと落ち着かず、全身の筋肉を収縮させる。
心臓が喉をのぼってくるような感覚をおぼえるが、うまく飲み下すこともできない。
「……ぁ、」
すがるような思いで山下に視線を向けると、ばちりと目が合ってしまった。
山下はどうやら、真由美のことを、ずっと見つめていたようだった。
視線がかち合ったことに驚き、少しのけぞった真由美に、山下はふっと笑みを漏らした。
「……なんかわたし、福原さんのことずっと勘違いしてたみたい」
その言葉に、真由美は目を見開いた。
そばにある山下の表情には、わずかながら、親しみのようなものが込められていた。
真由美が固まっていると、山下は愛好を崩し、軽く小首をかしげて言った。
「あのさ、福原さん。さっきみたいに、なんでも言ってよ」
「……っ、」
「もっとしゃべってよ。わからないことがあったら教えるし、質問じゃなくても、雑談でも、なんでもいいからさ」