不器用ハートにドクターのメス

それが、わたしの仕事なんだ。

仕方なく働くんじゃなくて、消去法で選んだんじゃなくて。

自分で選んで、この仕事をしていきたい。これからも、オペ看として頑張っていきたい。

なんだろう。なんなんだろう。

今なら胸を張って、そう言える気がしてしまう。


深呼吸し、真由美は一度、足を止めた。

山下と別れたときは、ただなんとなく、どうしても落ち着かなくて、歩き回りたいだけだった。

どこに行こうと、明確な目的があったわけではないはずだった。

けれど、やりがいを遅れて実感できた今。真由美の心には、定まった目的が描き出されていた。

息を吸う。再び歩き出した足に、迷いはなかった。

ある場所を目指して、真由美は歩いていく。

この仕事についてから、人間の体は想像以上に強いものだと、真由美は実感していた。

とても丈夫にできているのだ。血。筋肉と骨。臓器、それから脳。

支障が出ればそれを作り替えたり、減らしたり足したり。

縫い合わせて繋ぎ合わせて、取り替えて。そうやってもまだ、生き長らえる。

人間は見た目より、ずっとしぶとい生き物なんだ。

……だから、大丈夫。

真由美は心の内で、呪文のように、何回も唱える。

大丈夫。どれだけ心臓の裏側が痛くたって、死んだりしない。傷を負っても、ちゃんと、治る。


……ねえ、だから。

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