不器用ハートにドクターのメス

高揚を胸にとどめたまま、真由美は背筋を伸ばす。

前を見る。目を開く。拳を作る。手を振る。足を進める。

あの場所へ。非常階段へ。胸を張って、歩きながら、ほとんど駆けだしながら、思う。

ねえ、だから。


……だからあの人に、仕事の大切さを教えてくれたお礼と、わたしの初恋を、伝えさせてください。




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