不器用ハートにドクターのメス
ずっと抱えていた、仕事の悩み。
逃げ道として、このオペ看の職種を選んでしまったこと。落ち込むといつも、やりたいことじゃないのにと思ってしまうこと。
いつだって、不安だった。ここに自分がいるべきじゃないと、そう思っていた。
申し訳ないとばかり、思っていた。
でもさっき、自分は変われていると、気づくことができた。
「初めて、自分は成長してるのかもしれないって、思えました。この仕事をしていていいんだ、この仕事をしたいって、思えました……っ、」
素直な気持ちを吐き出すと、耳の端が、じわじわと熱くなってくる。
やりがいなんて、自分が使うには、まだ早い言葉だったかな。
自分で成長しているなんて、言うべきじゃなかったかな。
さっそく後悔してしまう真由美だったが、その直後に聞こえた神崎の言葉は、とても優しいものだった。
「そうか。よかった」
落ちてきた声に、真由美はばっと、顔を跳ね上げる。
そこに見つけた神崎の表情も、声と同じく、とても優しい色をしていた。
「……よかったな」
「……っ、」
もう一度言われた、深みのある優しい言葉。
いつくしみが含まれるような声色に、真由美は大きく、心を揺らした。
近い距離で目を合わせていられなくて、再度、顔をうつむける。
神崎と真由美は、互いにしばらく、黙っていた。
ピチチチ、と、どこからか、鳥の鳴き声が聞こえてくる。
心を洗うような澄んだ空気は、秋という季節を感じさせる。