不器用ハートにドクターのメス
「わたし……先生に、もう一つだけ、言っておきたいことがあって」
しっかりと神崎を見つめながら、真由美は、熱された言葉を吐き出していく。
「わたし――」
「……いい」
恋慕の情を口にしかけた瞬間、神崎から、制止の声がかかった。
一瞬、呼吸を止める。
「言わなくても、わかってる」
神崎の声は、低かった。低いゆえ、感情を読みとることが、難しい声だった。
拒否されていると思った。
でももう、ここで引き下がるわけにはいかなかった。
「困らせて悪かった。もうーー」
「迷惑かもしれないんですけど、でもーー」
二人の言葉が、同時に重なった。
互いの内容は、全く噛み合っていないようだった。
けれど、神崎が自分との会話を終わらせようとしていることは、真由美には伝わる。
先生は、今さらわたしの告白なんて、きっと聞きたくないのだろう。
でも、聞いてほしい。
我儘で自分勝手かもしれないけれど、これだけは、これだけだから、言わせてほしい。
「先生」
「福原、俺は――」
「もう友達でも、いてくれませんか……っ、」
真由美が発した声には、必死さが溢れていた。
神崎の言葉は、その必死さに圧される形で止まっていた。
「わたしが欲張ったから……先生に邪な感情を抱いてしまったから……っ、だから、もう友達でいることも、だめですか……っ?」
その言葉に、神崎は見る間に表情を変えた。
苦く曇っていた顔が、驚き一色に染められていく。