不器用ハートにドクターのメス
「え……は?」
わけがわからない、という感情を丸ごとぶつけるように、神崎は間の抜けた声を出した。
そして、不明確なものを手探りするかのごとく、半ば緊張を含んだ表情で、言った。
「は……、え?お前……俺のこと、好きなのか……?」
低く、感情がわかりにくかったはずの声は、上ずっていた。
その問いかけに、必死の思いで、真由美はうなずく。
けれど、思う。うなずくだけじゃだめだ。声に出さなきゃ、だめだ。
真由美は何かを守るように強く拳を握りしめ、そして言った。
「好き、です」
わたしは、先生のことが、だれよりも。
「~大好きです……っ、」
真由美の告白に、神崎は鋭く息を飲んだ。
狐につままれたような呆然とした表情になり、額に指を押し当てて、混乱をあらわにする。
「え……や、ちょっと待て」
「……っ、はい……?」
「だってお前、恋人がいるんじゃないのか……?」
「え……?」
恋人。突然提示されたその単語の意味を理解するのに数秒要したあと、真由美は急いで、首を横に振った。
「~い、いません!!そんなの!!」
「……っ、二週間前の金曜!夜、男と一緒に歩いてたじゃねーか!」
突然神崎に声を張り上げられ、真由美はぱちくりと、目をまたたかせる。
戸惑いながら、二週間前の金曜日のことを、思い返す。金曜日。たしか、あの日は。
「あ……えっと……お兄ちゃんとなら、出かけてました……」