不器用ハートにドクターのメス

女子供でも容赦なさそうな真由美の悪人面と、老人を助け起こすという行動は、どう転がしてもまるで結びつかないように、神崎には思えた。


「それからね、仲良くなって。お昼休みに出てきて、あの子、わたしの話を聞いてくれるんですよ」


神崎の表情の変化に動じることなく、老婦人は穏やかな笑みを浮かべ、目尻に何本ものシワをつくって話を続ける。

神崎の中にまた、違和感が一つ増える。

……仲良くなった?

話を、聞いてくれるーー?


「入院してるとね、ついつい暗い気分になっちゃうでしょう?独りぼっちな感じがするのよね。でも、あの子が一生懸命話を聞いてくれるから、わたし、ずいぶん気持ちが楽になったんです」


老婦人はたいそう話好きなようで、こちらから質問を増やさなくとも、真由美との馴れ初め話を綺麗に語ってくれた。

ーー福原真由美のことを、少しでも明らかにできるかもしれない。

そう思って声をかけたのにも関わらず、ここで得た新たな情報が、今までで一番、福原真由美という人間にそぐわない。

逆に謎を深めてしまう結果となり、神崎の悶々とした感情は、ますます色濃くなった。


「……そうなんですね。いきなりすみません、お大事に」


老婦人に礼を言うと、神崎はさっとその場を離れつつ、笑みを引っ込めて首をひねった。

神崎にとって、特定外の人間と密接に関わることは、面倒以外の何物でもないことだ。

愛想笑いも、興味のない話を聞くことも、出来る限りしたくない。

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