不器用ハートにドクターのメス
……どうしよう。かなりキツい。
やっとの思いで通勤してきた真由美は、更衣室でうずくまりそうになるのを、なんとかこらえていた。
本当はしてはいけないことなのだが、どうにかおさまらないかと、家で薬を多めに飲んできた。なのに、少しもマシになる気配がない。
病は気からという。キツいキツいと腹部ばかりを気にしているとよけいに痛む気がして、真由美は必死に、痛みから意識をそらす。
これはもう、気力でふんばるしかない。
自分は微力な戦力といえど、一応はスケジュールに組み込まれているオペ看なのだ。当日に急遽体調が悪くて働けないなんてことになったら、上の人に、オペ看全員の組み合わせを考え直させてしまうことになる。
大丈夫、働ける。人様に迷惑をかけてしまうことだけはいけない。
今までの23年間苦しめられてきた分、きっと痛みの耐性もあるはずだ。
それに、今日は。
『しっかり予習しとけよ』
その言葉を思い出し、真由美は歯をくいしばって背筋を伸ばす。
そしていつも通り、予習を軽くこなし、朝礼に参加し、真由美は朝イチのオペに挑んだのだった。
人生で最もつらかったのはいつ?
そんな質問をされたら、今日この日と答えてしまいそうなほど、そこからの時間は、真由美にとって厳しい修行そのものだった。
午前中から2つのオペにつき、やっと最後の心臓オペの準備に入ったころには、真由美は魂を半分、飛ばしていた。
恐ろしい腹痛と、それに伴って腰痛頭痛も発生しており、よろけそうになってしまうところを懸命にやり過ごす。