不器用ハートにドクターのメス
◇ ◇ ◇
ぼんやりと、遠くに白いものが見える。
遠くと言っても、ずうっと向こうというわけではなく、手を伸ばしても届かないくらいの距離だ。
霧がかかった視界をクリアにするように瞬きを繰り返していると、その白いものが天井だということが、徐々にわかってくる。
「起きたか」
――天井が見える。たったそれだけしか情報を得ていない状況の真由美に、低い声が落とされる。
右側に頭を回し、そこにある丸イスに座っている人物を目にとめた瞬間、真由美の頭は、一気に覚醒へと導かれていった。
そうだ、と真由美は思う。
そうだ。わたし、オペ後に倒れ込んでしまって。そこを、神崎先生が助け起こしてくれて、横抱きにしてくれて……
「……っ、うあ、あ、あのっ」
「いきなり起きるな」
自分に向かって伸びてきた手と制止の言葉に、真由美は浮かしかけていた上半身を、再びベッド上に戻す。
急に力を入れたせいか、つきん、と鈍い痛みが、下腹部に起こる。
けれどその痛みは、先ほどと比べ、ずいぶん軽いものになっていた。
どうやら気を失っている間に、横になれるベッドがあるところに連れてきてもらい、しばらく寝させてもらっていたらしい。
混乱しながらも、真由美は現在の状況を理解する。
だが、ここはいったいどこだろう。
狭い部屋だ。目測、おおよそ3帖くらいで、視線を巡らせてみるものの、窓は一つもない。
真由美が現在のっているベッドが室内の最も奥に配置されているようで、手前には、簡易的な机が置かれている。
ぼんやりと、遠くに白いものが見える。
遠くと言っても、ずうっと向こうというわけではなく、手を伸ばしても届かないくらいの距離だ。
霧がかかった視界をクリアにするように瞬きを繰り返していると、その白いものが天井だということが、徐々にわかってくる。
「起きたか」
――天井が見える。たったそれだけしか情報を得ていない状況の真由美に、低い声が落とされる。
右側に頭を回し、そこにある丸イスに座っている人物を目にとめた瞬間、真由美の頭は、一気に覚醒へと導かれていった。
そうだ、と真由美は思う。
そうだ。わたし、オペ後に倒れ込んでしまって。そこを、神崎先生が助け起こしてくれて、横抱きにしてくれて……
「……っ、うあ、あ、あのっ」
「いきなり起きるな」
自分に向かって伸びてきた手と制止の言葉に、真由美は浮かしかけていた上半身を、再びベッド上に戻す。
急に力を入れたせいか、つきん、と鈍い痛みが、下腹部に起こる。
けれどその痛みは、先ほどと比べ、ずいぶん軽いものになっていた。
どうやら気を失っている間に、横になれるベッドがあるところに連れてきてもらい、しばらく寝させてもらっていたらしい。
混乱しながらも、真由美は現在の状況を理解する。
だが、ここはいったいどこだろう。
狭い部屋だ。目測、おおよそ3帖くらいで、視線を巡らせてみるものの、窓は一つもない。
真由美が現在のっているベッドが室内の最も奥に配置されているようで、手前には、簡易的な机が置かれている。