不器用ハートにドクターのメス
喉元に迫る熱さを、真由美はぐっと、唾を飲み下して抑える。
湧き上がるのは、嬉しさだけではない。真由美は同時に、強い後悔の念にも襲われていた。
生理痛だなんて、女特有の現象を男性に、しかも神崎に知られてしまったことは、初心な真由美にとっては気恥ずかしくてしかたのないことだった。
何かもうちょっと言いようがあったのではあるまいか。顔にどんどん熱が溜まっていくのを感じ、真由美は呼吸のリズムを崩す。
そして、今のこの体勢も、真由美には耐えられないものだった。
自分が寝ていて、相手にそばから見下ろされるというシチュエーションを、真由美は今まで、家族か保健室の女の先生としか経験したことがない。
遠くから見るだけでドキリとしてしまう神崎に見下ろされるというのは、いくらなんでもハードルが高すぎる。
「あの……」
「ん?」
「ありがとう、ございます……」
けれど、どれだけ恥ずかしかろうが、まずはお礼だ。
羞恥と闘いながら、真由美はおずおずと礼を言い、神崎を見上げる。
一言だけでは、足りない気がした。
もし倒れたのに気づいてもらえなかったら、自分は廊下で、仮死状態となっていたかもしれない。
それに、重かっただろうとか、自分のせいでタバコを吸いにいけなかったんじゃないかとか、たくさん、思いつく一つ一つについて謝りたいと思うものの、真由美はそれらを、うまく口に出すことができない。
言いたいことが募ると、苦しくなり、また眉間のシワが濃くなってしまう。そうなってしまっているのが、自分でもわかる。