不器用ハートにドクターのメス

神崎は、今度は制止することはせず、逆に、真由美の背中に手を添え、起きる動作を手伝う。

上半身を起こすと同時に、真由美はベッドから足を降ろす。

足底を床に着地させ、ふらつかないよう注意深く立ち上がると、真由美は神崎に、うやうやしく頭を下げた。


「神崎先生、あの、ありがとうございます……今日は、本当に……」

「着替えてこれそうか?」


すみませんと繋げる前に、神崎に尋ねられ、真由美は顔を上げた。

心配そうな視線が自分に向かって注がれていることに、真由美は緊張と戸惑いを覚えつつ、こくんと、大きく頭を振って頷く。

その様子を見て、神崎は言った。


「じゃあ着替えたら、職員専用出口のところにいろ」

「……え」

「家まで送る」


その言葉には、すでに決定事項だとでもいうような強い響きがあり、真由美は遠慮することができなかった。

神崎の真っ直ぐな視線にどぎまぎしながらも、真由美はもう一度、こくんと頷いたのだった。





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