不器用ハートにドクターのメス

真夏でもこの白さだ。冬は透けてしまうんじゃないだろうか。そんな、どうでもいい心配をしてしまう。

手術部の人間は、窓のないオペ室に何時間もこもるという業務の特性のおかげで、日焼けする機会はたしかに少ない。

けれど、真由美の白さはその外因的なものからきているのではなく、元々の、持って生まれた色のようだと、神崎は思った。

会話はほとんどないまま、車は走った。

いつもより早い時間帯だからか、道行く車数は少なく、ずいぶんスムーズに走行することができる。

それに関しては心地よいのだが、神崎は上回る居心地の悪さを、同時に感じていた。車内にたちこめる沈黙が、どうしても気になってしまうのだ。

普段なら、沈黙が気になるなんてことはない。

誰かにうるさくしゃべられると不快に感じるので、できれば黙っていてくれるとありがたい。逆に、そんな風に思ってしまうくらいだ。

けれど、真由美と二人でいる今、神崎は、妙にその沈黙を、息苦しく感じていた。

黙っていていいのだろうかということにプラスして、BGMはこのままでいいのか、車内の温度は大丈夫か。

そういうことまで気になるのも、そういうことに気づくのも初めてで、神崎はくちびるを固く結び直す。


……本当にどうしてしまったんだ、俺は。


道が混んでなかったことにくわえ、真由美の自宅から病院まではそう距離がないので、2人を乗せた車はあっという間に、職員専用駐車場に到着した。

始業にはまだ早すぎる時間帯、駐車場にはもちろん、他の誰の姿も見当たらない。

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