いつか孵る場所
翌日、ハルは定時に仕事を終えて会社近くの婦人科を訪れた。

そこはお産は取り扱っていないが確認するには良い。

今の段階では分娩まで出来る産院…ハルの通える範囲では公立の病院や透の働く病院に行こうとは思っていなかった。

きっと透に言えば自分の病院に行け、と言うだろう。

とりあえず確認だけしておきたい。



「ここに胎嚢があります。
まだ心拍は確認されていませんから妊娠はしていますが確定ではありません。
来週、再来週には心拍の確認が出来るかと思います。
ゴールデンウィーク明けにでも受診してください」

女の先生にそう言われてエコー写真を貰った。

黒い丸が小さいながらもくっきりと写っている。



− ばくだんは確実に成長している −

ハルは至がいつか言った『爆弾』を妙に気に入っていて、ずっと心の中でそう呼んでいた。
悪意はない。

お腹にいる、と確認が出来て嬉しかった。

自分と透を永遠に繋いでくれる、と思うから。



そうは思うけれど、この日からつわりが酷くなり、食事も水分も摂り辛くなっていった。

更に透も救急患者の対応やら学会やらで今週は会えなかった。

報告は5月初旬になるなあ、なんて思っていた。
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