いつか孵る場所
9.決戦
「ハル、大丈夫?」

病院からそのまま透の実家へやって来た2人。
ハルは少し気分が悪いみたいだった。

「うん…多分」

緊張のせいか胸がムカムカする。
それに、この家の大きさを見たら目が回りそうだ。
至の家も大きかったが、ここも更に大きい。

ハルは震えそうになる足に力を入れて車外に出た。
透はハルの手を繋いで玄関まで歩く。



「ただいま」

久々に入る実家。
透の声が玄関に響く。
すぐに母が出てきた。

「おかえり、透」

母はチラッとハルを見る。
ハルはビクッとして

「お邪魔します」

とだけ言った。
相変わらず、迫力のある人だ。
足が諤々しそうになる。

「…どうぞ、お入りください」

少し棘があったが、あの時よりは随分大人しくなっている気がした。

長い廊下を抜けるとリビングがある。
そこに透の父がいた。

「…二人とも座りなさい」

透はハルの手を引いて和テーブルの前に正座をした。
ハルもその隣に座る。

「さて、透。
じっくり話を聞かせてもらうぞ」

父の鋭い目が透を射抜く。
透も動じず、負けじと見返す。

「単刀直入に申し上げます。
僕はここにいる淡路ハルさんと結婚します。
どうかお許しください」

そう言って透は頭を下げた。
ハルも慌てて頭を下げる。

しばらくの沈黙の後。

「許さん」

その言葉が部屋に響いた。
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