いつか孵る場所
「透、これ何!!!」

ハルは駐車場で声を上げた。

「あれ、言ってなかったっけ?」

透は頭を掻いた。

「子供も生まれるのにいつまでも2人乗りの車じゃダメだろ?」

ハルの知らない間に車がポルシェから国産車へと変わっていた。
しかもワンボックス。

「まあ、走りたくなったらバイクで走ってストレス解消するし」

そう言って透は笑った。

車とかバイクとか、好きなんだろうなとはハルは思っていたけれど。
ここまで方向変換するか、と思ってしまった。

「それに僕、子供1人だけって思ってないからね。
ハルには負担を掛けるかもしれないけれど…3人くらいは欲しいんだ。
今後も色々想定してこれにしたんだよ」

「まだ産んでないのに~…」

ハルは思わず透の腕に寄り添って透に体重を掛けた。

「嫌?嫌ならこれ以上は子供作らないけど」

「誰もそんなこと、言ってません」

きゅっ、と透を睨むと

「私の意見も少しは聞きなさい」

「…はい」

「子供は産めるだけ産みたい。
でも、年齢というリミットがある。限界もある。
だから、一人産めてもその先は不安だらけよ。
そこはお医者様なんだからわかってるわよね」

「もちろん」

「じゃあ、いい。
能天気に呟いたのかと思っただけ」

「僕の夢を呟いただけ、あくまで理想だよ。
それくらいの子供が出来るくらい、ハルと仲良くいたいだけ」

ハルはしばらく呆然としている。

「わかってる?その意味」

透が悪戯っ子のような笑みを浮かべて顔を赤くするハルに車に乗るように勧めた。
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