いつか孵る場所
「透、私のいない間に色々頑張ったのね」

家に着いて中に入った瞬間、ハルは透を見つめて褒めた。
ハルが入院した時はまだ段ボールが積まれた状態だったのにそれが綺麗さっぱりなくなって片付いていた。

「少しずつね。
ハルと子供がいつでも帰ってこられるようにって」

家全体の内装は白を基調としている。

リビングは広々としていて解放感が溢れている。

キッチンにはカウンターテーブルが付いていて、ここで食事も取れるし、リビングのテーブルでも取れるようになっていた。



透の書斎も作られている。

本棚には本がギッシリ並んでいる。

シンプルな机の上にこれまたシンプルな写真立てがある。

そこには…。

夏休み、結婚式と病院見学も兼ねて帰ってきたナツと3人で病院で撮った写真。

たまたまナツの病院見学とハルの検診が重なって、何故か小児科外来で撮った写真。

研修医の黒谷がこんな事って滅多にないから、と言って産婦人科にいたハルを連れてきた。

小児科外来はその日、早く終わり、産婦人科は長引いていたからタイミングもバッチリ。

写真は黒谷が撮ってくれた。

「私、奥様が出産される時、必ず顔を出しに行きますね!
高石先生の泣き顔を見たい!」

とその時、こっそり言われた。
絶対に写真に撮るつもりだな、と思った。
透には未だに黙っているが。

透が写真を飾るというのは余程楽しかったのかもしれない。



寝室には夫婦のベッドの横にベビーベッドが置かれてあった。

風通しの良さそうな部屋で、清潔感が漂っている。

クローゼット専用の部屋もあった。

他にも部屋がいくつかあったがそれほど使わないと思われる。



「透、ありがと」

そう言ってハルは透に抱きつく。

「いえいえ。これくらいはしないと」

透はハルの髪の毛を撫でた。
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