いつか孵る場所
「透先生、良かった。
夜間診療、捌けました?」
LDRにやって来た江坂は当直に入っていた透を心配していた。
「黒谷先生が途中から入ってくれました」
江坂はそうですか、と微笑んでハルの状態を確認する。
「さあ、高石さん、あともう少しですよ。頑張りましょう」
江坂の声が室内に響いた。
窓の外が少し明るくなってきた。
夜明けが近い。
それに伴い、お産も進んでいる。
助産師の後ろに江坂が立ち、様子を見つめる。
「頭が出てきましたよ!」
助産師の明るい声が聞こえる。
「ほら、出てきた!」
しばらくして生まれたての新生児独特の泣き声が聞こえた。
胎盤が出てくるとへその緒の処置を江坂がする。
「はい、先生」
助産師から我が子を手渡されると透はハルに見せるようにして抱っこする。
「ハル、お疲れ様。元気な女の子だよ」
そう言ってすぐに透はハルに抱かせる。
ハルは疲れ切っていて、少しだけ触れて微笑んだ。
その後、透は助産師の指導の下、子供の水分をタオルで拭き始める。
「先生、助産師出来ますね」
あまりの手際の良さに助産師が言うと
「何度かしたことがあるので」
と嬉しそうに我が子を見つめて言った。
身長や体重を測り、長肌着を着せると透は愛おしそうに抱っこをする。
その目から涙が溢れてくる。
「ハル、本当にありがとう…」
「いえいえ」
ハルはようやく落ち着いてきて、部屋全体を見回した。
昨夜、急に破水をして、陣痛がやって来た。
出産までにバタバタとあっという間に終わった気がする。
正直、ホッとした。
…と思ったが、透の様子がおかしい。
ポロポロと泣いていたのに号泣に近い。
「大丈夫?」
ハルは自分の事よりも透の事が気になる。
「…今日、何日か知ってる?」
透の言葉にハルはうーん、と少し考えて。
「あ、クリスマス」
「そうだけどね、何日?」
「12月25日」
透は嗚咽を押さえて言葉を絞り出した。
「20年前のちょうど今頃、拓海はこの病院で亡くなったんだ」
夜間診療、捌けました?」
LDRにやって来た江坂は当直に入っていた透を心配していた。
「黒谷先生が途中から入ってくれました」
江坂はそうですか、と微笑んでハルの状態を確認する。
「さあ、高石さん、あともう少しですよ。頑張りましょう」
江坂の声が室内に響いた。
窓の外が少し明るくなってきた。
夜明けが近い。
それに伴い、お産も進んでいる。
助産師の後ろに江坂が立ち、様子を見つめる。
「頭が出てきましたよ!」
助産師の明るい声が聞こえる。
「ほら、出てきた!」
しばらくして生まれたての新生児独特の泣き声が聞こえた。
胎盤が出てくるとへその緒の処置を江坂がする。
「はい、先生」
助産師から我が子を手渡されると透はハルに見せるようにして抱っこする。
「ハル、お疲れ様。元気な女の子だよ」
そう言ってすぐに透はハルに抱かせる。
ハルは疲れ切っていて、少しだけ触れて微笑んだ。
その後、透は助産師の指導の下、子供の水分をタオルで拭き始める。
「先生、助産師出来ますね」
あまりの手際の良さに助産師が言うと
「何度かしたことがあるので」
と嬉しそうに我が子を見つめて言った。
身長や体重を測り、長肌着を着せると透は愛おしそうに抱っこをする。
その目から涙が溢れてくる。
「ハル、本当にありがとう…」
「いえいえ」
ハルはようやく落ち着いてきて、部屋全体を見回した。
昨夜、急に破水をして、陣痛がやって来た。
出産までにバタバタとあっという間に終わった気がする。
正直、ホッとした。
…と思ったが、透の様子がおかしい。
ポロポロと泣いていたのに号泣に近い。
「大丈夫?」
ハルは自分の事よりも透の事が気になる。
「…今日、何日か知ってる?」
透の言葉にハルはうーん、と少し考えて。
「あ、クリスマス」
「そうだけどね、何日?」
「12月25日」
透は嗚咽を押さえて言葉を絞り出した。
「20年前のちょうど今頃、拓海はこの病院で亡くなったんだ」