いつか孵る場所
エピローグ
寒い冬を越えて、春。



凛は生後3か月を過ぎ、ようやく首も座った感じだ。
最近、笑うようになり、段々と表情が豊かになってきている。



「透…?」

緊急帝王切開術が連続2件あり、透は恐怖の48時間労働を終えて家に帰ってきた。
シャワーを浴びてすぐに凛のいる寝室に向かい、その後出てこない。
ハルが様子を見に行くと広いベッドの壁際に凛が寝ていて、透はその横で心地良さそうに寝ている。
一歩間違えば重大な事故にも繋がりかねないが。
隣で様子を見ていてついつい寝てしまったのだろう。



「もう、透。
小児科の先生でしょ…」

自分が一番リスクを知っているくせに…。
ハルはそっとベッドに腰を掛けた。



今日は外が暖かく、窓を少し開けている。
それで丁度いいくらい。
カーテンが何度が揺れた。



ハルもゆっくりとベッドに体を沈める。



ここ数日は透の気持ちがソワソワしているのがわかる。
4月になれば至は病院からいなくなる。
父の純も院長を交代して一線から退く。
病院の体制が一挙に変わるのだ。
それはそれでいい方向に行けばいいと思う。

透自身も今までの業務に加えて至の病院での小児科夕診を受け持つ。
基本的に水曜休診の月~金。
週4の勤務だ。

色々と不安な部分もあるのだと思う。



ハルは静かに透の隣に行く。
その腕を枕にして、横になった。

そしてその頬にキスをする。
< 199 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop