いつか孵る場所
「淡路さん、どうですか?」

至は朝の回診にハルの元を訪れた。

「はい、おかげさまで…」

ハルは至に頭を下げた。

「このままいけば今週中には退院できると思いますよ」

至がそう言うとハルは嬉しそうに微笑んだ。

「遠い昔の妹といい、私といい、先生には本当にお世話になってしまって」

「いえいえ、これも何かの『ご縁』でしょうね。…今後もっとそのご縁が深くなるかも」

「えっ?」

ハルは驚いて聞き返すと

「いえいえ、弟の胸のうちを思う兄の独り言なんでお気にならさずに」

至は上品に微笑んだ。
< 61 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop