いつか孵る場所
「一応、親には気を使ってるんだ」

「まあ…」

至から見ると、透は好き勝手に生きている感じだったから意外だった。

「知らせず入籍するのも手かも」

至の提案に首を横に振った。

「そんなの、ハルが可哀想だ。堂々と結婚したい」

− へぇー、面白い。透がそんな事言うんだ −

至は内心ニヤニヤしている。

「じゃあ一度、実家に行って話すれば?父さんと母さんと」

「…行きたくない」

「それじゃ話が進まないよ」



話が堂々巡りになりかけた時、透が言った。



「…子供が出来たら許してくれるかなあ」



「はあ?」

思わず至が声を上げた。

周りは数名しかいなかったが、至は口元を押さえて咳払いをする。

「それこそハルちゃんが可哀想だ。いい歳して出来婚とか、ますます許さないと思うけど?」

透は今まで以上のため息をついて

「もう遅いかも」



至の顔が凍り付く。



「は、い…?」



「うん、何となくそう思う。そういう感覚ってよくわからないけど、多分、今朝のあれは…そうかな…」

「ちょっと、透!」

少し怒りが籠った至の声が食堂に響いた。
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