大人の恋は波乱だらけ!?
「でも安心しろ。
発売日は何としてでもズラして貰うから。
だから……お前は自分が納得できるゲームをトコトン追求して作れ」


高梨部長はいつもそうだ。
私の事を庇って、守って……。
そして優しく背中を押してくれる。

いつまでも高梨部長に頼ってばかりじゃ駄目だ。
でも今の私じゃあ……【大人の恋愛】ゲームなんて作れない。


その時、ふと友輝の言葉が浮かんだ。


『もしかしたらお前の力になってくれる人がいるかもしれねぇ。
……会って見るか……?』


新條さんになんか頼みたくないけど……。
今私が頼れるのはもうあの人しかいない。

あの人は私とは違う世界で生きてきた人だ。
【大人の恋愛】も経験してきただろう……。

私は何としてでもゲームを作らなければいけない。
それが私の仕事だから……。


「高梨部長。
私……頑張ります、私のゲームを待ってくれている人の為にも早くイイものを作ります」

「桜木……?」

「だから……高梨部長はどーんと構えていて下さい!」


ワザとふざけた様に言うと高梨部長は一瞬だけ顔を緩める。
でも直ぐにまた真剣な顔へと戻って行く。


「……無理はするなよ……」

「……はい」


笑顔を浮かべるが上手く笑えているのかが心配になった。
これから私が取る行動が吉と出るか凶と出るかは分からない。

そもそも新條さんが相談に乗ってくれるとも思わないし……。
それでも私は進まなければいけないんだ。

1歩ずつでも確実に……。
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